[遺尿症:おもらしの心理学]

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遺尿症


トイレットトレーニングの基本


遺尿症

遺尿症

トイレット・トレーニングが完成した年齢で、自分の意志で排尿をコントロールできるようになっているにも関わらず、不随意的に排尿をして漏らしてしまう症状のことを遺尿症(enuresis)という。

通常、お漏らしと呼ばれる自分の意志で排尿を制御できない症状は、児童期前半くらいまでに消失することが多いが、児童期後半以降にまで持続することがある。稀に、成人期にまで遷延してしまう遺尿症もあるが、その場合には心理的原因だけでなく泌尿器や脳の器官の病変にも留意する必要がある。

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尿路の炎症など直接的な原因以外にも、てんかんなど脳の機能的障害を伴う精神疾患や意識消失の発作によっても、不随意的な失禁を起こすことがあるので遺尿症の原因は多岐に上る。認知症の高齢者にも、遺尿や遺糞といった排泄の自律性を失ってしまう症状が多く見られる。

遺尿症には、昼間にいつの間にか排尿してしまう認知症(旧称・痴呆)などに多い症状と、子どもに多い夜間の遺尿症である夜尿症がある。また、排尿の量も、ちょびちょびと漏らしてしまって自覚症状が乏しい「少量型」と一気に大量の排尿をしてしまう「大量型」とがある。

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トイレットトレーニングの基本

トイレットトレーニングの基本

幼児期から児童期の遺尿症(お漏らし)の原因の多くが心因性であり、成人期以降の遺尿症には生理学的異常や身体疾患を伴うものが多い。厳しい罰則(体罰)を伴うトイレット・トレーニングを行って養育者が神経過敏の状態になっていると、子どもは心理的な緊張や不安を抱いてお漏らしを起こしやすくなる。

また、お漏らしに対する強固な罪悪感を子どもに植えつけたりすると、遺尿症が長期に遷延しやすくなるので、愛情と共感を持って子どもへのトイレット・トレーニングを行う必要がある。

トイレット・トレーニングの基本は、『子どもに劣等感や罪悪感、羞恥心を抱かせずに、トイレで排泄をする自然な習慣を身に付かせること』だから、子どもに臆病な気持ちや消極的な不安感、親の顔色を伺う依存心を抱かせないようなしつけが大切だということである。

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子どもがお漏らしをしても、バカにしたような態度をとって自信を失わせたり、厳しく叱責して恐怖感を抱かせないようにしなければならない。また、子どもがうまくトイレに行けた時には自然に褒めてあげて自信や自主性・積極性を強めて上げることが重要である。

トイレを我慢せずに行きたくなったらすぐに行くような習慣を付けてあげること、学校の教員であれば休み時間にトイレに行かなかった子どもへの罰としてトイレを我慢させることなどをしないことが必要である。

遺尿症の治療としては、体系化されたバイオフィードバックを伴う行動療法や有効性の高い薬物療法などがあるので、小児科や心療内科の医師、あるいは、児童心理を専門とする心理臨床家に相談してみるのも良いだろう。

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